2016年6月1日水曜日

RQ2 紹介 - 第01回 はじめに

すごーく今さらな気もしますが一部で需要がありそうなので「RuneQuest 第2版」のルール紹介記事を連載しようかと思います。30年以上前に発売された古いゲームで、RuneQuest 第3版の発売以後、遊ぶ機会も少なくなり色々とうろ覚えだったりする部分もあって間違ったりするかもしれませんが、一部でも参考になれば幸いです。(細かい点などはルールブックを確認ください)




●今回の記事の背景

最近 RuneQuest 2版が予想外のちょっとした盛り上りを見せいます。そのきっかけとなったのは Chaosium社から RuneQuest Classic としてルールが再版されたことにあります。今まではそもそもルールブック自体が入手困難で興味がある人がいたとしても手に入れようがないとういう状況が長く続いていたのですが、この再版により容易に入手可能になりました。再版されたといって物理本は今のところ配送待ちでまだ私の手元に届いていませんが、PDF版ならばすぐにでも Chaosium のウェブサイトや DriveThruRPG から入手可能になっています。

さらには Chaosium社が今年後半に発売予定とアナウンスしている新しい版の RuneQuest は RQ2 をベースに開発中と発表したことにより、俄然 RQ2に注目が集っています。こちらも非常に楽しみなのですが、待ち切れない人は予習的に RQ2 を遊んでみるのも面白いかもしれせん。

今回は第01回ということで、個々のルールの解説に入る前に全体的な特徴や版の違いについて簡単に説明したいと思います。


●RuneQuest 2版の特徴

RuneQuest 第2版の特徴ですか、個人的な偏見も入りますが以下のような点が挙げられるかと思います。

グローランサ: なんと言っても背景世界がグローランサ(Glorantha)です。RuneQuest の第3版以降は汎用ファンタジーとして特定の世界を対象にしていないのですが、RQ2 の背景世界としてはグローランサ専用になっています。このおかげでルールがシンプルで世界観にマッチしています。

柔軟: 古いと言いながらもクラス無しのスキルパーセント制、経験や訓練による任意のスキルの成長、自由な呪文取得、クリティカルとファンブルなどなど RQ3 やクトゥルフなど他の Basic Roleplay 系列の基礎となる要素は全て入っているので、(その当時のゲームとしては)とても柔軟なキャラクターを作成して遊ぶことができます。

軽い: ルーンクエストといえば重いゲームの代名詞のように思っている人もいるみたいですが RQ2 は RQ3 はもちろん他の多くのRPG と比べてもそこそこ軽いゲームです。ルールブックもたったの 128ページしかありません。RQ'90 とかを読むと、この人たちが本当に作りたかったのは RQ2 なんだろうなとか感じたりします。

古い: 今の人たちには全体的に古い感じがすると思います。編集が洗練されいなくて説明文があっちこっちに散らばっていたり、遊び方の面でも先行の D&D を意識したダンジョンに行ってモンスターを倒して財宝を持ち帰るのがメインだったり、致死率が比較的高かったりとか。

そもそもマジックポイント(MP)とかゲームマスター(GM)などの、今では当り前な用語が使用されるようになる以前の黎明期のロールプレイング・ゲームなので色々と気になる人がいるかもしれませんが古いゲームなので勘弁してもらうしかありません。ちなみにゲームマスターのことはレフリー(審判)と呼んでいました。


●RuneQuest 第1版

第2版があるのならば、その前に第1版があるだろうということで、まずは RuneQuest 第1版について簡単に説明します。1978年というから今から38年前! に最初の RuneQuest が発売されました。内容的には RQ1 と RQ2 は基本的なルール部分には違いはほとんど無く説明文までほぼ同じです。RQ1 のテーブル類を差し替えたり、色々な追加ルールを加えた完全版が RQ2 といった感じです(あとの方で簡単に違いをまとめます)。


表紙的にも RQ1 と RQ2 はよく似ていて一見区別がつきませんが、この写真のような赤と茶色の二色刷りの表紙のものが RQ1 です。

RQ1 はそれほど多く印刷されなかったらしく一時期は eBay とかでかなりのプレミアがついたりしましたが、今回の再版に合わせて RQ1 もスキャンされた PDF版が再版され Chaosium の公式ページや DriveThruRPG でダウンロード購入可能になっています。OCRされていなくて実用性は低くてコレクターアイテム的になりますが価格は安いので RPG の歴史に興味があ人は購入してみるはいかがでしょうか。

Chaosium: http://www.chaosium.com/runequest-1st-edition-pdf/

DiveThruRPG: http://www.drivethrurpg.com/product/177112/RuneQuest-1st-Edition


●RuneQuest 第2版

RQ1 はかなり好評だったらしく、発売から2年後の1980年に RuneQuest第2版が発売されました。その後 RQ2は何度も何度も色々な形態で再版されたため色々な表紙が存在しています。


上記の写真は RuneQuest/Glorantha コレクターとしても有名な Chaosium社の現社長 Rick Maints のコレクションです。右上の赤と茶色の2色刷りのものだけが RQ1 で残りは全て RQ2 になります。上列の箱がボックスセット、下列に並んでいるフルカラーのものが通常のソフトカバー版で発売時期によってロゴマークなどが微妙に違います。右下の単色刷りのやつは上列にあるボックスセットの中身のルールブックでボックスセットにはこの他にシナリオのアップルレーンなどが同梱されていました。

左上にある紫色っぽい表紙のものはイギリスの Games Workshop からライセンス販売されたものです。こちらもソフトカバー版とボックス版があります。写真だと少しわかり難いですが左下のものは Reston Publishing からライセンス発売されたハードカバー版です。これはカバーを外すと赤革風になっています。写真にはないですが他にもボクッスセットの中身として以下のような赤単色刷りのものがあります(写真は rpg.net より)。


表紙は色々ありますが、中身は全て同じ版でレイアウトまで含めて完全に同じです。


★RQ1 と RQ2 の違い

RQ1 と RQ2 は基本的なルールはほぼ同じですが、大幅な追加と微妙な変更が存在しています。興味ある人もいるかもしれませんので違いについて簡単にまとめてみました。

綺麗: ぱっと見で一番目につくのは綺麗さの違いです。RQ1 でタイプライターで打ったものをそのまま切り貼りしていて微妙に斜めになっていたりした表が RQ2ではきちんと植字したものに差し替えられています。手書だった地図やルーンやイラストなども清書されたものに置き換えられています。

表: 武器表やファンブル表などのテーブル類が差し替えられています。遊ぶ上で一番違いが出るのはこの部分かもしれません。もちろん今遊ぶなら調整済みの RQ2 のデータを使うのがお勧めです。

付録: 分量的に最も大きな変更は「第10章の付録(Referee Notes/Appndix)」が大幅に追加されいことです。主なものではノックバック、盾による攻撃、スラッシュとクラッシュ、暗闇と光源、落下や火によるダメージ、物品の価格表などが追加されています。事前経歴のルールも差し替えになっています。無くなったものとしてはルーンの識別から風(Air)のルーンの行が消えています(謎です。編集ミスかもしれません)。

編集: 一部で編集が変更になっています。例えばシャーマンの項目が RQ1 ではルーン魔術の章にあったのが基本魔術の章に移動されています。他にもモンスターは RQ1 は種類順に並べられていたのが、RQ2 では名前のアルファベット順に並べ換えられています。その際に失敗したのか Barbarian Dragonewt の項目が RQ2 では消失していたります。

ルール修正: ルール変更はほとんどないのですが、例えば荷重オーバー時の処理など一部のルールがこっそり変更されています。荷重ルールは付録の方に別方式のオプションルールが追加されていたりもしますが。

正誤表: RQ1 との違いとはちょと異なりますが、RQ2の最初の版以外では表紙の裏と裏表紙の裏に正誤表が追加されています。この正誤表は最初はサポート誌の Wyrms Footnote に掲載されたものですが、増版する時に本文には手に入れずに正誤表を表紙裏に追加したようです。


●RuneQuest 第3版

Avalon Hill から出版され、HobbyJapanから日本語翻訳されたのがこの第3版になります。それで日本では馴染深い人も多くカタカナで「ルーンクエスト」と言ったらこの版を指すことが多いと思います。RQ2 からはルールが全面改訂になっており、グローランサ以外の一般的なファンタジー世界に対応できるよう様々なルール改変や追加がありルールの量も大幅に増えています。


事情はちょっと複雑なのですが、この RQ3 も Avalon Hill の作品というわけではなく Chaosium社の作品になります。普通の本の著者と出版社の関係を思い浮かべてもらえると近いのですが、 Chaosium が著作権を持って開発/著述を行ない、ウォーゲームなどを多く出版してゲームショップなどに既存の販路を持っていた Avalon Hill が出版と流通を担当していました。

また Avalon Hill との契約によりグローランサ専用ではなく汎用ファンタジー設定として作り直され、グローランサ以外のサプリメントを Avalon Hill が独自に出版できる契約になっていました。

この提携は残念ながら大手の Avalon Hill に有利で Chaosium には一方的に不利なものだったらしく販売販路は広がったものの Chaosium社の収入は減ってしまい最終的には物別れになってしまいました。この契約解除の時の交渉により Chaosium から RuneQuest の商標が Avalon Hill に譲渡され、グローランサとルールシステムに関する権利は Chaosium社に引き上げられました。

その後グローランサ(Glorantha)の権利は Greg Stafford が世界中のグローランサ・ファンからの支援をもとに設立した Issaries社に移され、RuneQuest の権利は「システム(著作権)」と「商標」と「背景世界」をそれぞれ別の会社が持つことになりました。


●Mongoose版RuneQuest

しばらく時間がたって RPG出版から撤退した Avalon Hill が更新せずに手放した RuneQuest の商標をグローランサの権利を持つ Issaries社が取得しました。イギリスの大手RPG出版社である Mongoose Publishing が Issaries社から RuneQuest の商標と背景世界(Glorantah)のライセンスを受けて出版したのが Mongoose版 RuneQuest (MRQ) および RuneQuest II (MRQ2)です。


●Design Mechanism版RuneQuest

Mongoose版の RuneQuest II の著作者だった Loz と Pete が、Mongoose と別れて Issaries社から直接ライセンスを受けて出版したのが Design Mechanism版の RuneQuest です。Mongoose版を4版、5版と数えると第6版になることから、RQ6 と呼ばれることもあります。ルール的には MRQ2 とほぼ同じですが、記述が詳しくなり編集が格段に良くなっています。


●RuneQuest Classic

そして Greg の半隠退にともなって「商標」と「背景世界(グローランサ)」の権利はビジネスパートナーだった Moon Design社に譲渡されました。

昨年(2015年)6月に Greg Stafford が Sandy Petersen と組んで Chaosium社の経営に復帰し、8月に Moon Design社のスタッフをその運営に据えたことにより、ばらばらになっていたグローランサの権利と RuneQuestの商標がシステムの権利(著作権)を持つ Chaosium社に戻ることになり RuneQuest の再版が可能になりました。

それを受けて Kickstarterで資金募集され今年(2016年)に再版さた RuneQuest 2版が RuneQuest Classic です。昔のものと区別して  RuneQuest Classic と呼ぶこともありますが、一般には区別せずこれも RQ2 と呼ぶようです。


内容的には過去の RQ2 と同じ文章ですが、全面的にレイアウトがやりなおなされており、表紙裏にあった正誤表の内容が全て本文に反映され改版されいます。加えてサポート雑誌の Wyrms Footnote からルール解説コラムなども転載されており、その関係でページ数が 128ページから 144ページに増えています。あと年表が ST.1627年まで進んでいたりします。

この新しい RQ2 は以下から PDF版が購入することができます。

Chaosium: http://www.chaosium.com/runequest-2nd-edition-pdf/

DiveThruRPG: http://www.drivethrurpg.com/product/177116/RuneQuest-2nd-Edition-1980


●RuneQuest第4版

現在 Chaosium社では RQ2 をベースにした新しい RuneQuest を鋭意開発中ということで、今年の夏の GenCon でドラフトを公開、後半にも発売とアナウンスしています。彼らはこの開発中の RuneQuest を Chaosium の第4版、RQ4 と呼んでいるようです。

過去には Avalon Hill から出版予定だった RuneQuest: Adventures in Glorantha が RQ4 と呼ばれていたことがありました。また Mongoose版 RuneQuest とその後継版のことを RuneQuest 4版および 5版と数えていたこともありました。これらは勘定外として Chaosium のものだけを数えることにしたようです。略称についてはややこしいので変えて欲しい気もします。


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以上、ルーンクエストの版としてだいたいこんな感じですが、今回の連載では RQ2 のルールについて紹介したいきたいと思います。

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